あるツイートを起点として、バッテリーEVについて論争が起こりました。
少し時間ができたので、今世界の自動車メーカーが直面している課題、そして今後の業界の行く末について解説したいと思います。結論から言うと、今後3年間くらいかけて日米欧の既存の自動車メーカーはジワジワと縮小し、テスラやBYD、現代G辺りが圧倒的勝ち組になると見ています。👇
— ウミガメ@自動車の未来予測 (@turtle_auto) June 19, 2022
(togetter)
このツイートに対して、資源的に内燃機関の代替にはなりえないという匿名ブログが投稿されます。
【匿名1】
他産業で使うコバルト10万t/年を無視した前提でも7億台しか作れない(これはあくまで上界)。
世界に存在するICEVは10億台程度なので上界でも絶対に足りない。
リン酸鉄系もよく引き合いに出されるけど
肝心のリンは石油より先に(2060年頃)枯渇するので持続性がない(肥料と取り合いになるため)。
https://anond.hatelabo.jp/20220620011640
これに対して反論が匿名ブログに投稿される。
【匿名2】
LFP電池が使うリンの量なんて、農業利用される莫大なリン量に比べたらタカが知れてるというか、はっきり言って誤差のレベルでしょ。農業分野での消費量のオーダーは年間1.5億?2億トンって世界じゃん。「世界の推定埋蔵量は700万トン」のコバルトに関して増田がやったような試算をリンでやったら、LFP電池のEV何台作れることになるかな?
https://anond.hatelabo.jp/20220620101253
これに対してのアンサー。
【匿名1】
問題は消費量じゃないんだ。リン酸塩の値段は今後も続くリンの採掘によって上がっていく。「肥料じゃなくて電池にするから安くしてくれ」なんてできないんだよ。現にウクライナ侵攻後にFertilizer prices indexの値段は2倍になってるからこの影響は半年もしたら出始めると思うな。あとね、個人的に心配してるのがこのあと天変地異なりでリンの値段がさらに急騰した場合に安全保障を名目に中国政府が梯子を外してくるんじゃないかということ(四川大地震の時に似たようなことが一回あったみたい)。リンはレアメタルよりも大事な、人間にとって生きていくのに絶対必要な元素なのでそれを電池に使い続けるのは政治的にも難しいと思うな。
https://anond.hatelabo.jp/20220620201004
反論。
【匿名2】
「リンが高騰してて大変だ」というけど、今の「高騰した」リン酸塩の取引価格が250円/kgぐらいでしょ。対するコバルトは10000円/kg超え。やっぱりこの2つを「希少な資源」として同列に語るのはかなり無理がある。元増田は「「肥料じゃなくて電池にするから安くしてくれ」なんてできないんだよ」と言うけど、期待付加価値から考えれば、産業用途リンは絶対に農業用途リンに買い負けたりしない。もし農業リンがコバルトに競るぐらいの希少資源になったら、その頃は世界の慣行農業の仕組みは崩壊してるよ。
https://anond.hatelabo.jp/20220620225630
バッテリーの素材から考える「BEV」。とても興味深く読みました。正直どちらの主張も「なるほど!」ってなるので、まったく判断はつかない論争でありましたが、有意義な気持ちになりました。
個人的には、いずれBEVに移行するとは思っているのですが、意外と時間はかかると思っていました。ただ、そのイメージは、日本メーカーや日本メディアが発信していた情報がベースなので、間違っているかもしれません。(確かに日本メーカーは世界的なトレンドからは、遅いようにもみえます。)もちろん、意外と普及に時間がかかって、日本メーカーの判断が正しかったという未来もあり得るとは思いますが、さて。